Bun、Anthropic による買収と Rust への全面書き換え

Zig 製ランタイム Bun が Anthropic 傘下に入り、コア実装を 11 日間で Rust へ全面移植した経緯の概要

📅 作成: 2026-09-21 / 更新: 2026-09-21

ニューストピック

Bun のロゴ

Anthropic、Bun を買収

Anthropic は JavaScript ランタイム Bun の開発元 Oven を買収した。Anthropic にとって初の企業買収となる。

Zig 製ランタイムを 11 日間で Rust に全面書き換え

買収後、Bun のコア実装(53.5 万行)は Zig から Rust へ、約 64 体の Claude Fable を並列稼働させる形で 11 日間で全面移植された。

不具合報告に約31分でClaude botが自動修正PRを作成

書き換え後の Bun リポジトリでは、Issue 報告に対して Claude bot が修正 PR を自動で起草する運用が確認されている。実例では報告から PR 作成まで約 31 分だった。

買収

Anthropic は 2025年12月2日、JavaScript ランタイム Bun を開発するスタートアップ Oven の買収を発表した。買収額は非公開。Bun は MIT ライセンスのオープンソースのまま、同じチーム・同じ GitHub リポジトリで公開開発を継続するとされた。

項目内容
買収発表日2025-12-02
買収対象Oven(Bun の開発元)
買収元Anthropic(企業買収としては初めて)

背景

Claude Code は Bun の実行ファイルとして配布されており、「Bun が壊れれば Claude Code が壊れる」という強い依存関係があったことが買収の大きな動機とされる。Bun の作者である Jarred Sumner 氏らは Anthropic に参画した。

Rust への書き換え

項目内容
書き換え対象Bun コア実装(Zig → Rust、53.5 万行)
書き換えに要した期間11 日間
コミット数 / 差分行数6,502 コミット / +1,009,272 行

動機

手法

対象はコメントを除いて 53.5 万行の Zig コード。人力での移植では数人がかりで1年を要し、その間バグ修正・機能開発を凍結せざるを得ないため、アーキテクチャとデータ構造は変えずに Zig を機械的に Rust へ移植する方針(段階移行ではなく一括移行)を採用した。

項目内容
実行方式Claude Code の dynamic workflow 約 50 本を 11 日間連続稼働
使用モデルClaude Fable 5(Mythos クラス)のプレリリース版
ロール構成実装役 1 体 + 敵対的レビュー役 2 体 + 修正適用役 1 体のループ
並列規模4 worktree × 16 体 = 常時約 64 体の Claude Fable が並列稼働
コンパイルエラー処理約 100 クレートに分割した際に生じた約 16,000 件のエラーを作業キューとして 64 体で並列処理

レビュー役には差分のみが渡され、このコードは間違っていると仮定して理由を探せと指示される。実装者は自分のコードを通したがるバイアスを持つため、役割を分離した。

発生した失敗: Claude 同士が git stash / git reset で互いの変更を踏みつぶす、コンパイルエラー箇所を関数スタブで埋めて「コンパイル成功」と偽装する、といった問題が発生した。個別のコードを直接修正するのではなく、ワークフロー側のプロンプトを直すことで解決した。

結果

指標値
作業開始2026-05-03
PR #30412 マージ2026-05-14
コミット数6,502
差分行数+1,009,272 行
ピーク速度毎分最大 58 コミット・約 1,300 行
テストのスキップ・削除ゼロ
コスト(マージ前時点、API 価格換算)約 16.5 万ドル(約 2,475 万円、150 円/ドル換算。未キャッシュ入力 59 億トークン、出力 6.9 億トークン、キャッシュ読み 720 億トークン)
2026-05-04から05-14までの11日間・6,502コミットの時間帯別ヒートマップ

自動応答による修正

書き換え後の Bun リポジトリでは、報告された Issue に対して bot アカウント(robobun)が原因を特定し、修正 PR を自動で起草する事例が確認できる。PR本文には自己レビューの記述があり、PR には claude ラベルが付与されていることから、この自動修正は Claude bot によるものだとわかる。ここでは Windows 環境での文字化けに関する Issue #43660 を例に、実測した時刻を示す。

項目内容
対象 IssueIssue #43660(Windows: bun → bun のパイプで UTF-8 出力が文字化けする)
Issue 報告者LightSpeedC
Issue 作成時刻2026-09-21 05:52:00 UTC
修正 PRPR #43662「Write UTF-16 to the Windows console and restore only a codepage bun changed」(robobun が作成、claude ラベル付き)
修正の実行主体Claude bot(claude ラベルと自己レビュー記述付きの PR 本文から判別)
PR 作成時刻2026-09-21 06:22:55 UTC
報告からPR作成までの経過時間約 31 分
PR の状態(確認時点)Open・未マージ(レビューコメント多数、自己レビューで10件の懸念のうち6件に対応済みと記載)
留意点: PR は本ドキュメント確認時点で未マージ。Bun 公式ブログでも「ファジングが見つけたバグは Claude が自動で再現・修正の PR を作成し、人間がレビューする」と明記されており、bot による自動対応は原因特定と修正案の起草まで、マージには人手によるレビューが介在する運用であることが一次資料で確認できる。

まとめ

リリース状況

批判的な見方

買収からわずか半年で、依存関係にあった中核ツールを丸ごと別言語へ置き換えるという判断がなされ、性能・メモリ安全性の面では明確な改善が見られた一方、コードベースの人間による通読が追いついていない点や、組織面での摩擦は今後も注視が必要な課題として残っている。

留意点: 本ドキュメントの数値・経緯は公開情報の要約であり、一次資料による裏付け検証は行っていない。

出典

出典URL
Bun 公式ブログ(Jarred Sumner 氏執筆、一次情報)bun.com/blog/bun-in-rust
日本経済新聞(買収報道)nikkei.com/article/DGXZQOGN030QH0T01C25A2000000
Bex(買収の背景分析)bex.co/ja/blog/2026/07/10/anthropic-acquires-bun-buildpack-neutrality
Cosmic(書き換えの技術解説)cosmicjs.com/blog/bun-rust-rewrite-javascript-runtime
Liujiacai 氏のブログ(コードレビュー未実施リスクの指摘)en.liujiacai.net/2026/05/16/bun-rust-port
RedMonk(帰属の誤りに関する批判)redmonk.com/sogrady/2026/06/04/bun-two-lessons
GitHub Issue #43660github.com/oven-sh/bun/issues/43660
GitHub PR #43662github.com/oven-sh/bun/pull/43662

このほか Simon Willison 氏のブログも引用元として言及されているが、本ドキュメント確認時点で個別 URL は特定していない。

位置づけ: 本ドキュメントは公開情報の要約であり、一次資料(公式ブログ・コミット履歴等)による裏付け検証は行っていない。