Apache Tomcat 2026年の CVE 注意点

Tomcat 11.x の公式セキュリティページから、2026 年に修正された脆弱性と注意点をまとめた調査。

📅 作成: 2026-10-22 / 更新: 2026-10-22

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2026 年は 1 月から 10 月までに 9 回のリリースがあり、修正された CVE は 50 件を超える。調査時点(2026-10-22)の最新版は 11.0.27(2026-10-12)。対象は Tomcat 11.x のページで、10.1.x・9.0.x は確かめていない。

最優先で確認するもの(11.0.27)

2026-10-12 の 11.0.27 で修正された Important の 3 件。直すには 11.0.27 が要る。

CVE内容影響しやすい構成影響版
CVE-2026-101296JNDIRealm(GSSAPI 以外の SASL)で、バインド資格情報の検証に失敗しても通り、パスワードなしで認証されるLDAP 認証11.0.0-M1〜11.0.26
CVE-2026-103119AJP でバッファの読み取りが足りず、応答ボディが次のリクエストに漏れるApache / IIS と AJP で連携11.0.0-M25〜11.0.26
CVE-2026-101356HTTP/2 の非同期処理で、エラーのあとにオブジェクトを再利用し、リクエストとレスポンスが取り違わるHTTP/2 + 非同期サーブレット11.0.22〜11.0.26

2026 年の傾向と注意点

認証のバイパスが続いている

パスワードなしやユーザー不在でも認証が通るものが、JNDIRealm(CVE-2026-101296・CVE-2026-55957)、DataSourceRealm(CVE-2026-68569)、DIGEST 認証(CVE-2026-43512)で見つかった。Realm を使っているなら最優先。

セキュリティ制約(web.xml)のバイパス

パスの長短による制約の順序(CVE-2026-65182)、RewriteValve(CVE-2026-65927・CVE-2026-59083・CVE-2026-53404)、WebSocket のエンドポイント(CVE-2026-76183)、拡張子パターン(CVE-2026-43515)、default servlet(CVE-2026-55956)。

HTTP/2・AJP・WebSocket で DoS と取り違えが多い

使っていなければ、コネクタを無効にするのが根本的な対策になる。AJP は外部に公開しない。

修正の不完全・回帰が多い

CVE-2026-34486(11.0.20 だけが影響)、CVE-2026-86350、CVE-2026-86248、CVE-2026-65637、CVE-2026-32990。途中の版で止めず、最新版まで上げる。

クラスタの EncryptInterceptor

既定が CBC で、padding oracle 攻撃を受ける(CVE-2026-29146)。リプレイ攻撃も防げない(CVE-2026-55955)。クラスタ通信を使うなら設定を見直す。

TLS の失効確認の漏れ

FFM・OpenSSL を使った TLS で、OCSP・CRL の検証漏れが繰り返し出ている(CVE-2026-24734・CVE-2026-29145・CVE-2026-34500・CVE-2026-86248・CVE-2026-53434・CVE-2026-73581)。CLIENT_CERT 認証を使う構成が該当する。

サンプルアプリ

examples に XSS(CVE-2026-50229)とメモリ枯渇(CVE-2026-66299)がある。本番からは消す。

2026 年に修正された CVE の一覧

Tomcat 11.x の修正版ごとに、新しい順に並べた。深刻度は公式の表記。

修正版CVE深刻度概要
11.0.27(10-12)CVE-2026-103119ImportantAJP で応答ボディが次のリクエストに漏れる
11.0.27(10-12)CVE-2026-101356ImportantHTTP/2 の非同期処理でリクエストとレスポンスが取り違わる
11.0.27(10-12)CVE-2026-101296ImportantJNDIRealm(GSSAPI 以外の SASL)でパスワードなしの認証
11.0.27(10-12)CVE-2026-93446LowTLS 1.3 接続がときどき失敗する
11.0.27(10-12)CVE-2026-88041LowHTTP/2 で前のリクエストのトレーラーが後続に漏れる
11.0.27(10-12)CVE-2026-74049LowJSTL の <c:redirect> のあともページが処理される
11.0.27(10-12)CVE-2026-74048LowFIPS を有効にできなくても起動が止まらない
11.0.26(09-15)CVE-2026-86350ImportantCVE-2026-41293 の修正の回帰で、HTTP/2 のヘッダが取り違わる
11.0.26(09-15)CVE-2026-78383Importantボディのない AJP リクエストでスレッドが占有される(DoS)
11.0.26(09-15)CVE-2026-77791ImportantWebSocket の close 送信時のビジーウェイト(DoS)
11.0.26(09-15)CVE-2026-76183ImportantWebSocket エンドポイントのセキュリティ制約のバイパス
11.0.26(09-15)CVE-2026-86248ModerateCLIENT_CERT の OCSP 確認が失敗しない(CVE-2026-34500 の修正が不完全)
11.0.26(09-15)CVE-2026-79677Moderate非同期 WebSocket 書き込みのタイムアウトが失われる(DoS)
11.0.26(09-15)CVE-2026-73581ModerateOpenSSL 実装がキーストア利用時に CRL を無視する
11.0.26(09-15)CVE-2026-87022 ほか 5 件LowWebSocket のスマグリング、HTTP/2・HTTP/1.0 の他ユーザーへの影響、Jakarta Authentication の Realm 共有 など
11.0.25(08-18)CVE-2026-68763ImportantHTTP/2 のストリームリセットでメモリリーク(DoS)
11.0.25(08-18)CVE-2026-68569ImportantDataSourceRealm にユーザーがいなくても認証される
11.0.25(08-18)CVE-2026-65927ImportantRewriteValve の [N] フラグの off-by-one でアクセス制御のバイパス
11.0.25(08-18)CVE-2026-65182Importantパスの長短による制約の順序でセキュリティ制約のバイパス
11.0.25(08-18)CVE-2026-65637ModerateHTTP/2 で :authority が無いと厳格な SNI 確認を回避できる
11.0.25(08-18)CVE-2026-73180 ほか 5 件LowWebSocket セッションが閉じない、FORM 認証後の GET、ロール別名、DIGEST の再生、UDS の TOCTOU、サンプルのメモリ枯渇
11.0.24(07-08)CVE-2026-59084・CVE-2026-59083LowEncryptInterceptor の資料不足、RewriteValve の + の誤デコード
11.0.23(06-22)CVE-2026-55956Moderatedefault servlet の制約でメソッド指定が無視される
11.0.23(06-22)CVE-2026-55955 ほか 4 件LowEncryptInterceptor のリプレイ、FFM の無効な CRL、RewriteValve の OR 条件、サンプルの XSS など
11.0.22(05-05)CVE-2026-43515Moderate同じ拡張子パターンの複数の制約で、最初のメソッド制約しか効かない
11.0.22(05-05)CVE-2026-43512ModerateDIGEST 認証で、存在しないユーザーがパスワード "null" で認証される
11.0.22(05-05)CVE-2026-43514 ほか 4 件LowAJP シークレットのタイミング攻撃、LockOutRealm の大小文字、WebDAV のボディ上限 など
11.0.21(04-04)CVE-2026-34486ImportantCVE-2026-29146 の修正の誤りで EncryptInterceptor がバイパスされる(11.0.20 のみ)
11.0.21(04-04)CVE-2026-34500ModerateFFM 利用時に CLIENT_CERT の OCSP 確認が失敗しない
11.0.21(04-04)CVE-2026-34487・CVE-2026-34483LowKubernetes の bearer token をログに出す、JSON アクセスログへの注入
11.0.20(03-20)CVE-2026-29146ImportantEncryptInterceptor が既定で CBC を使い padding oracle 攻撃を受ける
11.0.20(03-20)CVE-2026-32990・CVE-2026-29145ModerateSNI 確認の大小文字、CLIENT_CERT の OCSP 確認
11.0.20(03-20)CVE-2026-24880 ほか 2 件Lowチャンク拡張によるスマグリング、TLS 1.3 の暗号順、Draining Valve のリダイレクト
11.0.18(01-26)CVE-2026-24734ModerateFFM の OCSP 応答の検証が不完全
古い修正版でも 2026 年に公開されたもの: CVE-2026-55957(Important、GSSAPI の JNDIRealm でパスワードなし認証、11.0.5 で修正済み)、CVE-2025-66614・CVE-2026-24733(11.0.15 で修正済み)。11.0.5 より古い版を使っていると該当する。

対処

出典